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NODA・MAP第18回公演「MIWA」@東京芸術劇場プレイハウス

野田秀樹が、美輪明宏の生涯をどう描くか!?が見所の舞台。
そして、線の細い宮沢りえが、確固たる存在感のある美輪明宏をどう演じるのか興味がありました。

最初のシーンで、なるほど!そうきたか、と。

宮沢りえ演じる「男性器を踏んで女性を選択するのにためらいのある」魂と、古田新太演じるアンドロギュノス(男女両性)の魂が、男性の体に入るという設定。
地上に降りて人間として誕生後は、宮沢りえと古田新太の二人羽織状態に(^^;

確かに、あの複雑な存在感を表現するには、男優でも女優でも一人じゃ足りないと思います。

そして、美輪明宏の母親で、聖母マリアの役は井上真央。
このマリア様は、「肝っ玉母さん」みたいな、強くて図太い母性の象徴。

それに対して、宮沢りえの魂は、清らかな「処女マリア」。
そのため、マリア様の純潔の象徴である青い衣装を常にまとっています。

私は、美輪明宏さんの著書を読んでいたので、大体のシーンが何を表していたのか分かりました。
そういう意味では、いつもの野田秀樹の芝居のような「ラストにどこへ連れていかれるか分からないスリル」は、なかったのですが、「美輪明宏」という存在は、野田秀樹の芝居にピッタリだと感じました。
彼の得意なメタファーがふんだんに使えるからです。

「前世が天草四郎」というエピソードから、「踏み絵」を重要なファクターに使ったり。
「華氏764度」から、原爆につながったり。

孤独感の描き方も独特。

舞台の上の美輪は、アンドロギュノスと一緒のうちは孤独感はない。
でも、他の人と違って、アンドロギュノスを身の内に宿しているという点では孤独。

自分が愛した男達が次々と亡くなって、ついには、アンドロギュノスともお別れ。
「魂が一つ」の人間とは、別の孤独です。

それから、小道具について。
原爆のシーンに使った大きな布は、天池合繊が開発した「天女の羽衣」ではないかと思ったんですけど・・・・・多分違いますね。高すぎるもの(笑)。
あの美しい布を、あんな残酷なシーンに使うなんて・・・・・でも、すごく効果的な使い方でした。

最後に、気になったセリフを。

「無償の愛は、親が子供に与える愛を言うんじゃない。子供が親に与える愛を言うんだよ。どんなにロクでもない親でも、子供は愛してくれるんだから」

これは、きっと、子供を持った野田さんの実感ですよね(^^)
by june_h | 2013-10-13 12:29 | 観劇 観戦 コンサート レポート | Trackback | Comments(0)