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「移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活」 高野秀行 著 講談社

タイトルには「食生活」と書いてありますが、食べものが主ではなく、食べものを通してわかる、在日外国人のコミュニティについて書かれています。

移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

高野 秀行 / 講談社


日本には、実にたくさんの外国人コミュニティが存在します。

千葉県成田市には、タイの寺院があって、タイ人のお坊さんもいます。
タイのお坊さんは、戒律で一枚の布しか羽織ってはいけないのですが、寒い日本では、靴下と肌着が黙認されているそうです(^^;

東日本大震災では、外国人コミュニティが団結力を発揮して、被災地で炊き出しなど行ったそうです。
コミュニティの中心となったのは、民族ごとに違います。

例えば、イスラム系はモスク。
中国系は中華学校。
北欧系はパン屋のアンデルセン!?・・・・・アンデルセンは、北欧の大使館とのコネクションが強いからとのこと(^^;

面白いのは、同じ国の人でも、民族や宗教が違うと、コミュニティが全く分かれてしまうこと。
そして、日本では、世界中の料理が味わえるとはいっても、現地の人から見ると、その土地ならではの食材や調味料は、なかなか気軽に買えるものではないということ。

あと、著者の偏見丸出しの取材が面白いです(^^;
著者は、フランスに対してあまり良い印象を持っていなかったので、フランス人コミュニティの中心である神楽坂での取材は、非常に構えた感じでした(笑)。
そうかと思うと、個人的に仲良くなった盲目のスーダン人については、とてもフレンドリーで楽しい取材。
私も読みながら、何度も笑いました。

嬉しかったのは、こうした外国人が、日本が好きで、日本は暮らしやすいと言ってくれたこと。
日本料理を気に入って、焼酎と冷奴で晩酌しているミャンマー人もいました(^^;

また、朝鮮族の中国人は、中国では少数民族扱いなので差別されるし、北朝鮮人や韓国人からは、下に見られるそうです。
なので、日本では、あまり気にされないので「気楽」なんだとか。

あと、日本に来て、花粉症になったり、ワーカホリックになってしまった外国人もいました。
「郷に入れば郷に従え」と言いますが、病気も従ってしまうとは(^^;
by june_h | 2014-05-09 12:29 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)