ホメオパシー的落語噺:蝦蟇の油

江戸時代、「蝦蟇(がま)の油売り」という商売がありました。
売っていたのは、ヒキガエルの腺の分泌物「蟾酥(せんそ)」が入った軟膏。

この軟膏を売るために、香具師は、こんな口上を述べながら客寄せをします。

「さあさ、お立ち会い。御用とお急ぎでない方は、ゆっくりと聞いておいで。
遠目山越し笠のうち、物の文色と理方がわからぬ。
山寺の鐘は、ごうごうと鳴るといえども、童子来立って鐘に鐘木をあてざえば、鐘が鳴るやら鐘木が鳴るやら、とんとその音色がわからぬが道理。・・・・・」


蟾酥には、強心作用、血圧降下作用、冠血管拡張作用、胃液分泌抑制作用、局所麻痺作用、抗炎症作用等があります。
ヒキガエルの腺の分泌物にある毒素・薬理作用のある物質を総称して「ブフォトキシン(Bufotoxin)」と呼びます。

ホメオパシーでも、ヒキガエルの腺の分泌物から作られているブーフォ(Bufo)と呼ばれるレメディがあります。

口上の中には、こんな一節があります。

「赤いは辰砂、椰子の油、テレメンテエカにマンテエカ、金創には切り傷。効能は、出痔、イボ痔、はしり痔、横痃、雁瘡、その他、腫れ物一切に効く。」

これは、ガマの油の他に、軟膏の中に入っている成分と、軟膏の効能を言っています。

辰砂(しんしゃ)は、硫化水銀。
朱肉などの朱色の顔料や、漢方薬の原料として使われていました。
ホメオパシーでは、シナバリス(Cinnb.)と呼ばれるレメディの原物質です。

テレメンテエカは、テレピン油のこと。松ヤニを蒸留して得られる精油。
古くから傷に対する塗り薬として使われ、現在でも、ヴィックスヴェポラッブの主成分の一つです。
ホメオパシーでは、テレビンシーナ(Ter.)と呼ばれるレメディの原物質です。

横痃(よこね)は、梅毒による鼠径部の腫れのこと。

その他、マンテエカは、バターのこと。金創は、刀傷。雁瘡(がんがさ)は、皮膚炎のことです。

ホメオパシーで、ブーフォ(Bufo)とシナバリス(Cinnb.)は、抗梅毒レメディ。
横痃は、梅毒でできるものですから、「横痃に効く」というのは、理論的にありえるかと思います。

ただ、売っていた「蝦蟇の油」に、本当にガマの油が入っていたかどうかは、わかりませんが・・・・・。

蝦蟇の油の効能を見せるため、香具師は、自分の腕を刀で切って軟膏を塗り、傷がたちどころに治るのを見せます。
でも、本当は、腕を切ったフリをして、血糊を付けただけだったそうです。
傷が「なくなる」のは、当たり前ですね。

落語「蝦蟇の油」では、香具師が酔っぱらって、自分の腕を本当に切りつけてしまい、ガマの油を塗っても血が止まらない・・・・・というのがオチです(^^;
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by june_h | 2014-07-30 09:19 | ホメオパシー | Trackback | Comments(0)