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圓朝祭(前半)@イイノホール

「落語行かない?」と友人から誘われて届いたチケット。それを見て「またまたぁ。やっちゃったね」と思った私。

私の友人は怖がりなのに、今回の演目は怪談噺ばかり。彼女は昔からワケわかんないんだよね。生クリームが嫌いなクセに、ケーキの食べ放題に行こう!なんて言ったりして・・・・・と思ったら、彼女は毎年、ご家族とこの圓朝祭に足を運んでいるという。今回は、ご家族のご都合が合わなくて、私に譲ってくれたのだ。

演者を見ると大御所ばかり。根強いファンが多く、チケットは即完売。地方からもわざわざ見に来るお客も多いのだとか。大変な寄席に呼んでもらったことがわかり「歌丸目当てで申し込んだんでしょ」なんて一瞬でも思ったことが、大変申し訳なかったのでした。

ロビーを一歩入った途端、一面を覆う加齢臭にクラクラ(-o-;;;年齢層、高っ!私が子供に見えちゃうくらい(笑)。そんなわけで、大御所たちの落語も、解説や現代風アレンジはほとんどナシ!聴きながら、頭の中で漢字変換したり、ボキャブラリーを引っ張り出してくるのが大変でした。
「みのぶ」・・・・・身延?
「こうじん」・・・・荒神?
「きじょう」・・・・騎乗?帰城?
みたいな。
でも、すっごく感動した。大御所たちの話術と話の内容に。今ではめったに聴けない演目もあったりして。


■「甲府い」:林家いっ平
聴いてて、ものっすごくイラっとする。カミまくりでハラハラするし、セリフ忘れた?と思うようなヘンな「間」があったりして、イライライライラ、ストレス感じまくり。これなら前座の棒読み落語のほうがよっぽどマシ。ほんとに真打?
今日に限って、仕事でトラブって、上司に全部押し付けて、駆けつけたっていうのに。こんなことなら、ちゃんと仕事してから来るんだった。
話の途中で、私のちょうど前の人の携帯電話が鳴った。ところが、本人は耳が遠いせいか気づかず。奥さんらしき人が慌てて止める。その間、おかまいなしに話を進めるいっ平。ったく、三平の息子なら、携帯鳴らした客いじって、笑いに転化しろっ!噺家なのに機転が利かないなぁ。ちきしょう金返せ!・・・・・書いてるうちにだんだんハラが立ってきたから、ここらで止めておこう。
<あらすじ>
甲府出身の若者が豆腐屋に迷いこんできた。聴くと、江戸に出てくる途中でスリに遭い、一文無しだという。気の毒がった主人は、ご飯を食べさせたうえ、うちで働かないかと誘った。若者は大喜びで、恩返しとばかりに「とうふ、おあげに、がんもどき」と声を上げつつ懸命に働き、豆腐屋は大繁盛。喜んだ主人は、ついに娘と結婚させ、若者を養子にする。
ある日、若者が、田舎に里帰りし、ついでに身延山にお参りしたいという。主人は許し、嫁となった娘も連れて行くことになった。出かけようとする二人に「どこへ行くんだい?」と、ご近所さんから声がかかったときの若者のセリフが「こうふ(甲府)、おまいり(お参り)、がんほどき(願解き)」。


■「船徳」:春風亭小柳枝
ものっすごい早口。よくもまあこんなふうにだーーーーっと言葉が出てくるもんだ。途中「こうもり傘」が出てきて、落語って江戸時代の話じゃないの?と違和感を覚えたけど、明治大正でも落語は当然生まれてるわけで。
今ならさしずめ、新米タクシードライバーのバタバタ喜劇というところでしょうか・・・・・あ、こんな漫才、あったような気がする。
<あらすじ>
「船徳」(吟醸の館)


■「どうかん」:柳家小三治
太田道灌の有名な故事がベースになっている落語。話自体は知ってるんだけど、なんで山吹の花を差し出すのかっていうのをいつも忘れてしまう私。これでもう覚えられるかしら。
<あらすじ>
「道灌」(吟醸の館)


■三遊亭圓朝作「大仏餅」:三遊亭金馬
「別に、この話がキライなわけじゃないんですよ。わかるお客がいなくなったからなんですよ」と師匠。なんでも、主催者やらお客やらからリクエストがあって、十数年ぶりに高座にかけるとのこと。なんでかっていうと・・・・・。

・死語が出てくるから・・・・・袴着(はかまぎ)の祝い
・茶道の用語が出てくるから・・・・・建水、お薄
・差別用語が出てくるから・・・・・メクラコジキ
・サゲの意味わからないから・・・・・眼から鼻に抜ける
・もう一つの小噺を知ってないとサゲの面白さがわからないから・・・・・落ちた大仏の眼を子供が修理する話

ざっと挙げても五重苦。そのため、マクラも、この話を理解するための解説が中心でした。
でもすっごく感動しました。滅びゆく落語を聴いた貴重な体験をしたというか・・・・・。落語って、当時の風俗や流行をすごく背負っているから、今では聴くことができない(聴いてもわからない)名作がたくさんあるんだよね。私の好きな歌舞伎を題材にした話も、たくさんあるらしいんだけど、今は歌舞伎を万人が知ってるわけじゃないから、ほとんど高座にかからないんだよね。意味がわからなくてもいいから、そういう話を私はたくさん聴いてみたいっす。
<あらすじ>
「大仏餅」(吟醸の館)


<関連リンク>
圓朝祭(ジュゲムスマイルズ)
by june_h | 2007-07-27 12:39 | 落語会 寄席 | Trackback | Comments(0)