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圓朝祭(後半)@イイノホール

仲入りは、仕事の都合で遅れてやってきた友人と、ロビーでまったりお茶&お酒。会うのは半年ぶりくらい。お互いに息災で良かったれす。

■三遊亭圓朝作「死神」:橘家圓蔵
圓蔵師匠の高座は二度目でございます。技術はすばらしいと思うのですが、残念ながら、私の琴線に引っかからない。でも、お話自体は面白かった。朝の光に耐えかねて、こっくりこっくり居眠りをする死神。こんな死神が世界中にいたら、世界はもっと平和になるのに・・・・・死神よりも恐ろしいのは女なり。ダンナを焚きつけ、死神を利用し、お金儲けをするのだから。
<あらすじ>
死神(吟醸の館)


■「怪談・虎の子」:柳家小さん
不思議なしゃべりです。ゆったりとした口調で、時折、大きな「間」が空きますが、なぜだか話に聞き入ってしまいます。この話は、怪談というより、ギャグっぽい。小学校の時に流行った「恐怖の味噌汁」とか「悪の十字架」とかと同じノリ。途中からサゲが予想できました。
<あらすじ>
(私の記憶で書いているので、熊さんと八っつぁんが逆かもしれません。あしからず)
長屋の熊さんの所へ、八っつぁんが血相を変えて飛んできた。ワケを聞けば「うらめしや。虎の子の金返せ」とつぶやく老婆の幽霊が出たという。熊さんは、老婆が大金を残して成仏できないのだと推測し、金を見つけて横取りしようと大喜び。今度また出てきたら、金のありかを聞けと八っつぁんに言った。老婆が言うには、探し物は、上野寛永寺の燈篭の下に埋めてあるという。寛永寺と言えば、徳川家に縁の深い場所。老婆は相当高貴な女性で、大金も相当なものに違いない!とますます期待が膨らむ。早速掘り出すと、出てきたのは骨壷とホネ。老婆の名前は「トラ」で、探していたのは娘の「カネ」の骨だったのだ。


■三遊亭圓朝作「怪談牡丹燈篭」より「お札はがし」:桂歌丸
開口一番から本題。マクラは一切なし!当然、木久蔵の悪口も一切なし(笑)。

お金に目がくらんだ夫婦が、若旦那を取り殺そうとしている幽霊の手助けをしてしまう。夜が明けると、若旦那は呪い殺され、変わり果てた姿に。幽霊の残した金と、主人から盗んだ黄金の仏像を手に手に逃げる夫婦。夫婦の運命の行方は?すべてを見透かす新幡随院の和尚の目には、一体何が映っているのか?
この話にサゲはありません。続きは「栗橋宿」の話へつながっていきます。私の友人曰く「栗橋宿の話は面白いからオススメ」らしい。機会があればいつか通しで聴いてみたいものです。

圓朝の落語はアラビアンナイトの如し、と噂は聞いていたけれど、スゴい!引き込まれる!歌丸さんの話し方もスゴい!歌丸さんの一言一言に、客席の意識が集中しているのをものすごく感じました。終わったとき、体が震えました。笑点なんか辞めちゃって、圓朝落語を極めれば良いのに(笑)。
江戸時代に行って、圓朝の落語を聴いてみたい!

でも私は、この話を聞いて、自分が勘違いしていたことに気づいたのです。あれぇ?お札をはがしたのは、高い窓じゃなくて、お便所の窓じゃなかったっけ?たぶん、何かの話と混同してますね。うーん、思い出せない。

<あらすじ>
「怪談牡丹燈篭」より「お札はがし」(吟醸の館)



イイノホールは、今年で閉館。次回からの圓朝祭は、別のホールで行われるそうです。最後は、歌丸さんとお客さんが一体となって三本締めして幕。「三本締め」っていうだけで、皆が同じリズムで一つになれる。やっぱり日本人っていーなー♪と思った瞬間でした。


最近、落語を聴くようになって、落語に対する認識がちょっと変わりました。
今までは落語って、「笑える話」だとばかり思っていたんだけど、どうもそれだけじゃないらしい。怪談もそうだし、「袈裟御前」なんて、どう考えても笑えない話だし。

落語にとっての「笑い」は、ストーリーに引き込んで、飽きることなく最後まで話を聞かせるための「方便」というか「仕掛け」みたいなもんじゃないかしら。例えはすごく悪いけど、ゲームセンターでお客に金を使わせるため、脱衣麻雀で美少女キャラがどんどん脱いでくみたいな(ほんと下品でスンマセン)。

だから究極の落語の姿って、ほとんど笑いが起こらないものかもしれない。でも、客はすごい集中して聴いて、サゲまで来てももっと聴きたくなるような、終わった後も寝るときも一週間経ってもその話で頭がいっぱいになるような、後々までずっと心に残るような・・・・・。あ、でも、これじゃ落語じゃないか・・・・・。

<関連リンク>
圓朝祭(ジュゲムスマイルズ)
Commented by rudolf2006 at 2007-07-29 10:01 x
june_hさま お早うございます。

落語会のレポ、愉しく読ませていただきました。
三平師匠の芸は一代で終わっているのではないでしょうか?
「いっ平」「こぶ平」は、別物だと考えた方が良いのかもしれませんね。
june_hさんのコメントを読んで、思わず笑い出してしまいました、爆~。
私が鴈治郎はんを懐かしんでいても、藤十郎丈は何とも思っていないでしょうし。その点、吉右衛門さんは偉いですよね、お祖父さんの芸を後世に何とかして伝えたい、と錦之介さんや隼人くんに教え込んでいるんだと思います。元は同じ播磨屋で、親戚でもあるわけで。

「牡丹灯籠」は、前の正蔵さんのが良かったですよ、笑いはまったく起こりませんでしたが、話に引き込まれました。それと、文学座の杉村春子さんの舞台、これも良かったですね~。

ミ(`w´彡)
Commented by june_h at 2007-08-01 21:24
rudolf2006さまこんばんわ!

三平落語の継承を掲げる落語家さんもいるようですが、彼の芸は、継いでいく類のもんじゃありませんよねー。
吉右衛門さんは、明確な後継者がいらっしゃらないから、それだけ危機感が強いのだと思います。私も播磨屋の芸が途絶えるのはヤです。
先代の正蔵のが良かったんですね!もしかしたら図書館にテープがあるかもしれません。探してみますね。ありがとうございます!
by june_h | 2007-07-28 19:51 | 落語会 寄席 | Trackback | Comments(2)