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八月納涼大歌舞伎第三部『通し狂言 裏表先代萩』@歌舞伎座

具合があんまり良くなくて、本当は第一部も観劇する予定だったけどキャンセル。残念!
その分、第三部は楽しませていただきましたよぉ。


・下男小助/乳人政岡/仁木弾正:中村勘三郎
・足利頼兼:中村七之助
・栄御前:片岡秀太郎
・荒獅子男之助:中村勘太郎
・下女お竹:中村福助


■序幕 花水橋の場
七之助の立役は初めて見ました。でも、声が高いから女形みたい。裏声を使わなくても、実声で女形ができちゃうんですね。
頼兼は「ぜいたくな若殿様」であることの象徴として、高価な伽羅の香木でできた下駄を履いている、という設定があるのですが、足のニオイが気になる私としては、いいなぁ、私も欲しいなぁと思ってしまいました(^_^;;
頼兼も足が臭かったんでしょうか(笑)。
刺客の一人が途中、頼兼の下駄の匂いをクンクン嗅ぐシーンがあるのですが、何にも知らない人が見たら、ヘンな趣味を持ってる人に見えるので、ちょっと面白かった。


■二幕目 大場道益宅の場
小判がウソみたいに、あっちへ行ったりこっちへ行ったりするのは、脚本に、黙阿弥が関わっているせいかしら。
コミカルな笑いあり、凄惨な殺しあり、細かい演出にいろいろ工夫があります。
勘三郎は、この幕では、主人を殺して金を盗む、下男小助として登場。
勘三郎は、相変わらず、欲望ダラケの人間らしさのカタマリみたいな役をやると面白い!


■三幕目 足利家御殿の場
「よう死んでくれた!でかしゃった」
乳母の政岡のこの言葉に、目頭が熱くなりました。
前の幕とはうって変わって、重厚でゆったりした時代物の雰囲気を持つ三幕目。
乳母の政岡が、養育している鶴千代と、実子の千松と一緒に屋敷で過ごしていると、毒入りの菓子を持参した栄御前がやってくる。この菓子を鶴千代に食べさせろと迫る栄御前に、政岡が窮していると、千松が菓子を食べて死ぬことで、身を挺して鶴千代を守る。実子の千松が毒に苦しみながらなぶり殺しにされているのにじっと耐え、鶴千代を抱き締める政岡。栄御前が去った後からが、政岡の見せ場です。
千松の亡骸を前に、
「よう死んでくれた!でかしゃった」
と言いつつも、心はウラハラに、子供を殺された悲しみにくれる政岡。
鬼気迫る勘三郎さんの熱演に、大拍手でした!
勘三郎さんの女形を見るのは初めてでしたが、本当に良かった!でもやっぱり、立役の勘三郎さんがいいな。


■同三幕目 床下の場
前の場とはまたまたうって変わって、いきなりファンタジーな世界。荒獅子男之助がネズミを追い詰めると、ネズミが悪役の仁木弾正の姿に変身!
江戸荒事の芸で魅せる、男之助役の勘太郎。でも、荒事はやっぱり海老蔵で見たいな。海老蔵以外の役者さんがやってると、おとなしく見えちゃうんだよね。勘太郎君、ちょっとノドの調子がおかしかったみたいだし。
仁木弾正の引っ込みが見せ場になっているのですが、三階席の私には影しか見えませんでした(^^;;;


■大詰 門注所小助対決の場
この幕で、小助の悪事が裁かれます。
下女のお竹に罪を擦り付けようとしたり、バレても必死で言い逃れをしたり。
実際にこんな人がいたら超ムカつきますが、勘三郎がやってると、何だか憎めない人に思えてくるから不思議。


■同 大詰 控所仁木刃傷の場
悪の張本人、仁木弾正が大暴れ!
歌舞伎って、悪役がカッコ良かったりするのよねん。
でもやっぱり、最後は勧善懲悪なんだけどねー。



第一部から第三部まで、勘三郎はほぼでずっぱりで、しかも連日だからスゴい!それで終わったら飲みに行ったりするわけだから、とても人間の体力とは思えません(^^;
きっと、観客からエネルギーを吸いとっているに違いない。だから私、終わった後、ぐったりだったのよねん(笑)。



<関連リンク>
八月納涼大歌舞伎(歌舞伎美人)
by june_h | 2007-08-20 20:52 | 歌舞伎 鑑賞 | Trackback | Comments(0)