人気ブログランキング | 話題のタグを見る

【アメリカ映画】フィクサー

純粋な娯楽映画でした。

icon
icon
薬害訴訟がテーマということで、巨悪と戦う弁護士の話?とか、法廷で繰り広げられるスリリングな駆け引き?とか想像してたんですが、弁護士同士のごくごく個人的な陰謀と攻めぎ合いに終始してました。
ぶっちゃけ薬害訴訟だろうが殺人事件だろうが国家犯罪だろうが関係ないわけ。とりあえず、裁判をひっくり返す重要機密文書の奪い合いなわけだから。

弁護士事務所をチョロチョロして汚い仕事を引き受ける「フィクサー」のマイケル。
被告である製薬会社の弁護を担当して、精神に異常をきたした弁護士のアーサー。
アーサーの後任で、文書が明るみにならないうちに必死で和解に持ちこもうとする女性弁護士のカレン。
同じ弁護士事務所にいる三人の、水面下での争い。

2時間たっぷり惹き付けられたのは、筋が判りにくかったのと、アーサーが何をしでかすかわからなかったからかな。
でも、三人それぞれの俳優の演技や、キャラクターの内面の描き方は、とても良かったと思います。

マイケルは借金を返すためにイヤイヤながら仕事を引き受け、アーサーは良心の呵責に苦しみ、カレンはすべてを失う恐怖に駆られて二人を葬り去ろうとする。
普通なら、カレンはもっと悪役チックに描かれると思うのですが、人間としての迷いと苦しみを抱えながら一線を越えてしまうという内面がよく描かれていました。
それからアーサー。この映画は、アーサーの狂気スレスレの切迫したモノローグから始まります。ここだけで映画の世界にグっと引き込まれます。

ただ、大金(製薬会社からの莫大な弁護料)と良心(機密文書の公表)を秤にかけて、後者を選んだマイケルの行動に、もう少し説得力がほしかった。それまではお金のためだけに動いていたはずなのに、なんでやねん?と、エンディングのタクシーでのロングカットを見ながら、はてなマークが頭に浮かんでいた私。
最近、アメリカに関するミもフタもない話ばかり読んだり聞いたりしているので、良心に従う弁護士が、今のアメリカにどれだけいるんでしょうね、とイジワルに考えちゃったりしてしまったから、余計に彼の行動がわからなかった。まぁ「実は正義の味方でしたー!」っていう方が、ジョージ・クルーニー的にもカッコいいから?

「あー面白かった」で時間をつぶすにはいい映画。でも、後にはなぁんにも残らないけどねー。


<関連リンク>
フィクサー(公式サイト)
「フィクサー」(映画詳細、映画館情報)
by june_h | 2008-04-19 15:50 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)