『テルマエ・ロマエ』の作者ヤマザキマリさんによるエッセイ。
ヤマザキさんの生い立ち、歴史上の好きな男性、今の日本に対する提言などなど書かれています。

男性論 ECCE HOMO

ヤマザキマリ / 文藝春秋


ヤマザキさんは、イタリアで美術を学び、イタリア人と結婚しています。
そして、古代ローマやルネサンス時代に関する著作物があります。

同じような女性だと、私は塩野七生さんを連想します。

塩野さんが考える「イイ男」は、カエサルとか、マキアヴェッリとか、稀代の英雄や一流の政治家というイメージ。
対して、ヤマザキさんが挙げたのは、ローマ皇帝ハドリアヌスや、博物学者プリニウス。
好奇心の赴くままに、なんでも貪欲に探究し、寛容で教養深い男性達ばかり。
ヤマザキさんに似ていますよね!

それから、ルネサンス時代の画家ラファエロ。
過労死したという説もあるくらい、仕事の注文が殺到していたそうです。
きっと、漫画の締め切りに追われているヤマザキさん自身の境遇と、重なるものがあるのでしょう(^^;

『テルマエ・ロマエ』は、古代ローマ人のルシウスが、現代日本にタイムスリップして、日本の風呂文化を持ち帰るストーリー。
「日本礼賛漫画」と言われたそうですが、彼女が描きたかったのは、むしろ、古代ローマ人の合理性と寛容さ。
古代ローマは、領土を拡大していく過程で、征服した異民族の文化や言語を取り上げることなく、良いものは積極的に取り入れたんですよね。
属州出身のローマ皇帝も数多くいましたし。
こういう寛容さがローマの活力を支えていたんですね!

『テルマエ・ロマエ』の映画がヒットした時、「原作使用料は100万円」と発言したことで、物議を醸したヤマザキさん。
契約社会の海外暮らしが長かったヤマザキさんは、暗黙の了解が多い日本的な契約の慣習に、違和感を覚えることが多かったのだとか。

「日本の常識は世界の非常識」ってパターン多いですよね(^^;
今は「クールジャパン」とかで、日本礼賛コンテンツが大流行りですが、海外から見ると「過剰」「幼稚」と思われる文化や習慣もあったりして。
ヤマザキさんを始めとした海外在住の方々の意見を聞いていると、独り善がりになっていないかと心配です(^^;
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by june_h | 2014-12-09 13:40 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)

『ローマ人の物語』の作者塩野七生さんのエッセイ集です。

想いの軌跡

塩野 七生 / 新潮社


タイトルの通り、1975年から2012年までの、様々な媒体に寄稿されたエッセイが収録されていますが、年代順ではなく、ジャンルごとにまとめられているので、80年代の次は、2000年代だったりしてバラバラ。

なので、寄稿年月日を隠しながら読んで、いつ頃に書かれたものか、推測しながら楽しみました(笑)。
塩野さんの文体は、30年以上、ほぼ変わらないので、こういう「遊び」ができるんですよね(^^;

ローマ法王を決めるコンクラーベの話が出て来たから「ベネディクト16世の話かしら」と思ったら、一つ前のヨハネ・パウロ2世の話だったり(^^;

本当は、この本を出すつもりがなかったのだと塩野さん。
なぜ、出版する気になったのか、前書きに理由が書かれていますが、書き方がカッコ良くてシビれます!
同じ事実でも、ああは、なかなか書けません。

塩野さんの文章は、基本的に、である調ですが、一つだけ、ですます調の文章があります。
それは、国際政治学者の高坂正堯先生への追悼文です。
大学の時、友達がよく「こーさか先生、こーさか先生」って、言っていたのを思い出しました(笑)。

最後のエッセイに、恐ろしい言葉が。
書評は、書評される書物の評ではなくて、書評する人の評であると思う

これは、まさに、その通りだと思います。

私がブログでこうして、書評とも呼べないような「読書感想文」をダラダラ書き連ねている行為は、
「本の内容を紹介する行為」
なのではなく、実は、
「自分自身を曝け出している行為」
に過ぎないわけで(笑)。

賢明な方ならば、文章や内容を一瞥しただけで、「ブログの主」の知識レベルや考え方、性格までが推し量れるというもの。
鼻で笑って華麗にスルーされていかれる方もいらっしゃるだろうと思います(^^;

でも、このことを頭に入れていれば、書評を書く側は、謙虚になれますし、作者側も、いい加減な書評で一喜一憂しなくて済みますね。

塩野さんには、いつも教えられます!
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by june_h | 2013-04-19 12:30 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)

『ローマ人の物語』でお馴染みの塩野七生さんのインタビュー番組。年末にあったので、録画して見ました!
インタビュアーは『歴史秘話ヒストリア』のアナウンサー渡邊あゆみさん。
インタビュー内容を聞いていると、もしかして、渡邊さんも七生さんファン!?

塩野さんが書く動機って、常に一貫していて。
「アナタを知りたい!」・・・・・好きな人なら、どんな人なのか気になります。
カエサルも、チェーザレ・ボルジアも、マキアヴェッリも、興味があるからトコトン調べてガンガン書いていたんですね!
日比谷高校に進学したのも、好きな人と同じ高校に行きたかったからなんだとか(^^;

面白かったのは、息子さんとのエピソード。

離婚している塩野さんが、ふと
「私が死んでも、あの世で待ってくれている男は、いないわねぇ・・・・・」
と呟くと、息子さんは、
「何言ってるんだよ母さん。母さんが本に書いた男達が待っているじゃないか!」
その言葉を聞いて、塩野さんは、
「あの世で会いたいと思っている男は、生きているウチに全員書いておかないと!」
と、思ったらしい(^^;
少なくとも、あと二人は、書きたいらしい(^^;;;

経済的に元気が無い今の日本に対して
「例えば、日本のお菓子や料理は、ムダに多くの種類がある。でも、このムダからしか、新しいものは生まれない」
とのこと。
今の日本で生まれて、100年先まで残るもの、あったら良いですね!
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by june_h | 2012-01-18 12:21 | テレビ ドラマ ドキュメンタリー | Trackback | Comments(0)

ハウツー本のようなタイトルですが、元『週刊プレイボーイ』編集長 島地勝彦さんの交友録です。

えこひいきされる技術 (講談社プラスアルファ新書)

島地 勝彦 / 講談社


「天皇陛下以外なら誰でも会える」
と豪語する島地さんは、自身の「えこひいきされる技術」でもって、名だたる大物作家を動かし、『週刊プレイボーイ』を人気雑誌に育て上げました。

「えこひいき」と言うと聞こえは悪いですが、人気作家は、お金では動きません。「一緒に仕事をしたい」と思ってもらわなければ、良い本は作れません。えこひいきされてなんぼの世界。「平等」という言葉は嫌いだと、島地さんは言います。

島地さんと交友があった今東光さんは、
「君が素敵な友を欲しいなら、まず君から素敵な友になってやることだ。恋人もそうだ。君がまず素敵な恋人にならなければ、相手だって素敵な恋人になってはくれない」
とおっしゃっていたそうですが、これは、仕事相手にも言えるでしょう。

島地さんは、惚れこんだ作家には、熱烈な手書きのラブレターをまず送ります。これが、相手の胸襟を開くための「マスターキー」なのだと言います(でも、高校生のとき初恋の相手に便箋100枚のラブレターを書いてフラれています(笑))。これは、幻冬舎の編集者 見城徹さんも同じですね。
塩野七生さんに対してもそうでした。
手紙を読んで「会いたい」と言わせればシメたもの。直接会って思いの丈をブツけます。塩野さんに「面白い男ね。合格だわ」と言わしめる知識と機転と読書量もあります。もちろん、作家の著作に目を通しているのは当たり前です。
かくして、新潮社発行『ローマ人の物語』の良いトコ取りをした『痛快!ローマ学』が集英社から出版されました。

開高健に連載を依頼したときは、酔った勢いで彼を押し倒してディープキス!
それで開高さんは「おまえを気に入った!」と喜んで連載を承諾したそうですが、開高健って、もしかしてドM(^^;?
しかも、半年で連載を止めたいと言ってきたときは、開高さんの浮気の証拠写真を見せて脅迫・・・・・ヤ○ザより怖い(^^;

また、作家さんに喜んでもらうためのサービス精神も旺盛です。
今東光さんの希望ということで、朝の6時からお寺で「ブルーフィルム上映会」をしたこともあったそうです(^^;

何よりも大切なのは「相手と直接会うこと」。
これは、一緒に仕事をする人とももちろんそうですが、クレームを言ってきた相手に対してもそう。
雑誌の記事に腹を立てた、右翼や左翼にも、直接相手の事務所に出向いて、可愛がられるようになったこともあるそうです(笑)。

今の島地さんの目標は、「死神にえこひいきされてラクに死ぬ」ことだそうです。
頑張って、お手紙書かなきゃね!
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by june_h | 2010-04-21 18:37 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

『ローマ人の物語』でお馴染みの作家 塩野七生さんと、息子さんのアントニオさんとの、映画についての対談本です。
塩野さんのエッセイでたびたび登場していたアントニオさん、どんな人だかすごく興味があったので、楽しんで読みました。

塩野さんは、ローマ在住で、現地の医師と結婚して生まれたのがアントニオさんです。その後、離婚して、母一人子一人となりましたが、本と同じく映画にも親しむ塩野さんの教育をしっかり受け継ぎ、アントニオさんは映画の世界で働くことに。彼が仕事で経験した、アメリカ映画界(ハリウッド)と、イタリア映画界の違いが面白かったです。

ハリウッドは、システマティックだけど、一人一人の持ち場がしっかり決まっていて、他の持ち場には絶対手出しできないそうな。でも、イタリアは、そこまで決まってない分、一人がなんでもやらなきゃいけないけど、いろいろな仕事が勉強できるので良かったとか。アメリカと違ってご飯も美味しいらしいし(^^)
イタリアが独特?なのは、映画のエキストラやスタッフを派遣する会社が、マフィアの経営だってこと(^^;
マフィアは、大きな利権のあるところには、必ず絡んでいて、理不尽なことを要求するけど、マフィア無しでは、仕事がうまく回らない。要は、社会のシステムが公正じゃないので、マフィア人脈に優秀な人材が流れてしまっているのです。
イタリア車はマフィアが絡んでいて厄介だ、と、輸入車販売をしていた私の知り合いが言っていたことを思い出しました。

二人の映画評は面白いのだけど、歴史的な名作が多くて、これらをあまり観たことがない私には、正直よくわからなかったんです(^^;
でも、多くの女性と浮名を流しながら、どの女性からも恨まれなかったという俳優 マルチェロ・マストロヤンニには興味を持ちました(笑)。

アントニオさんは、さすが塩野さんの息子さんで、語り方がとても論理的。母親の影響がとにかく大きくて
「僕はデキる女性に対するアレルギーはない」
という言葉が何度も出てきました(笑)。
そのためか、マドンナやアンジェリーナ・ジョリーを始めとしたデキる女性達の「アイス・レディ」論が面白かったです。
それから、
「幸せを追い求めるということ自体が、すでに狂的な精神行動かもしれない」
「喜劇のほうがしばしば、悲劇よりも悲劇的。ごく普通の人びとが、なりたくもなかったドラマの登場人物になってしまうという点において」
などと明言を吐いています(→これだけ切り取るとペシミスティックな人だと思われるかもしれないですが、そういうわけでもないです)。
でも、塩野さんのエッセイにたびたび登場していた「辛口で皮肉っぽくてユーモアがある息子」のイメージは、かげをひそめ、マジメになっちゃって、ちょっとツマラナイ(笑)。

不思議だったのは、塩野さんのことを「シオノさん」と呼ぶこと。まあ、今は母親が仕事の上司だからしょうがないのか(^^;;;

今度は、アントニオさんが好きな、日本のアニメ評について聞かせてほしいです。それなら私もついていけます(汗)。
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by june_h | 2010-03-11 22:28 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

以前に読んだ本ですが、今の自分に必要な言葉があるので。

ルネサンスの女たち (塩野七生ルネサンス著作集)

塩野 七生 / 新潮社


『ローマ人の物語』で有名な塩野七生の処女作です。四人の女性の生涯を追うことで、ルネサンス期のイタリア世界を描いています。

イザベッラ・デステ、カテリーナ・スフォルツァ、ルクレツィア・ボルジア、カテリーナ・コルネール。
いずれも名家の女性ばかりですが、おおざっぱに言うと、前者の二人は、自分の才覚で試練を乗り越えようとした能動的な「女主人」。後者の二人は、周囲の思惑に翻弄された受動的な「お妃様」。
私にとっては、断然、前者の二人の方が面白い!

読んだときに、特に面白かったのは、カテリーナ・スフォルツァ。
夫の領主が暗殺され、敵兵に城を囲まれ、「城を明け渡さないと、この子らの命は無いぞ」と人質に取られた子供達を盾に脅され、絶体絶命のピンチに。しかし、彼女は城壁に登ってスカートを捲りあげ(当時はノーパンです)
「バカめ!私は、ここからいくらでも子供を産めるのだ」
と叫んで、敵を蹴散らしてしまった、とんでもないお姫様です(^^;

でも、最近気になっているのは、マントヴァ侯爵の妃、イザベッラ・デステの言葉。

「夢もなく、恐れもなく(Nes spe nec metu)」

スゴく地に足が着いた感じで、しかもスゴくニュートラル。
感情を排して物事を判断するとか、涙目で物を見ないとか、ここからいろんな言葉が浮かんできます。
今の私には、とても必要なことです(^^;

ルネサンス期のイタリアは、ローマ教皇領を中心として都市国家が乱立していました。彼女のいたマントヴァも、そのうちの一つ。イザベッラは、とても聡明で、彼女の宮殿は、知識人が集まるサロンになっていました。レオナルド・ダ・ヴィンチも一時逗留し、イザベッラに肖像画を依頼され、彼女のデッサンを残しています。

しかし、夫のマントヴァ侯爵が、政敵に捕まってしまい、フェラーラ存亡の危機に!
彼女は、持ち前の政治力と頭脳を生かし、表から裏から手を回して、諸侯を手玉に取り、戦わずして夫の救出に成功!彼女のしたたかさに、ローマ教皇も悔しがって地団駄踏んだそうな。まさに、「夢もなく、恐れもなく」困難に立ち向かったのです。

『ローマ人の物語』も読んでいますが、15巻で完結してるのに、私は9巻で止まってしまっています。
いつになったら再開できるやら(^^;

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by june_h | 2009-09-08 21:07 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)